loafhudson

私の祖母は鹿児島の東の方に住んでいた。最近何かと話題になった原発のある市の隣の市と言った方がわかりやすいかもしれない。祖母はもう何十年も前に亡くなってしまったし、祖母の家に遊びに行ったのは産まれてすぐと幼稚園に通っているときの2度しかないので記憶は曖昧だが、確か祖母の家を出るとすぐそこには海があって、砂浜でたくさんアサリを取った記憶がある。幼稚園児だったときに訪れた際には、私は覚えていないのだけど、祖母の家にたくさんの親戚が集まっていたため寝る場所がなく、私と母が離れの納戸に敷かれた藁の上で寝たという、まるでハイジのようなエピソードを聞かされたこともある。こちらにいたら考えられないくらいの環境の中で、私はただただ祖母の家がとても楽しかったことを覚えている。

そんな祖母の家は、想像通りだけど鍵はついているだけの存在で、殆ど使ったことがなかったらしい。今では田舎でも鍵をかけないと物騒というけれど、祖母の田舎ではまだまだ平和そのものなんだそうだ。というか鍵が壊れていて使えなかったという話もあるくらいなので、恐れ入る。こちらの生活だったら考えられないだろう。錠前の無い家なんて、不安すぎて住むことなんてできない。

でもそんな平和な環境で育ったからなのか、父はとても大らかだ。だけど今では戸締りと火の元に関しては、家族に口うるさく干渉してくるけれど(笑)。真っ白になった父の髪の毛を、その後ろ姿を眺めながら、お彼岸の日に祖母を思う。